横浜やまて耳鼻咽喉科

JR山手駅より徒歩分の耳鼻咽喉科・頭頸部外科

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風邪に抗菌薬(抗生物質)は効くの?正しい使い方と注意点|横浜やまて耳鼻咽喉科

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2025.09.18

「風邪をひいたから抗生物質をください」と言われる患者さんは少なくありません。ですが、実は風邪に抗菌薬(抗生物質)は効かないことをご存じでしょうか?本記事では、抗菌薬の正しい使い方や、なぜ不要な使用が危険なのかを分かりやすく解説します。

抗菌薬(抗生物質)とは?

細菌に効く薬

抗菌薬は、細菌による感染症に効果を発揮する薬です。肺炎や中耳炎、扁桃炎などが代表的な適応疾患です。

ウイルスには効かない

風邪やインフルエンザ、コロナなどはウイルス感染症です。原因菌がウイルスであるため、細菌に対してのみ効果がある抗菌薬は効果がありません。

風邪に抗菌薬が効かない理由

風邪の原因はほとんどがウイルス

一般的な風邪症状(鼻水・のどの痛み・咳・発熱)は、90%以上がウイルス感染によるものです。

抗菌薬を飲んでも症状は改善しない

風邪に抗菌薬を使っても、自然治癒のスピードを早めることはありません。むしろ副作用のリスクを負うことになります。

「抗菌薬を飲んだから治った」と思っていませんか?

患者さんからよく「いつも抗菌薬を飲むと治るんです。だから今回も抗菌薬をください」と言われることがあります。
しかし実際には、多くの風邪は数日で自然に回復する病気です。
つまり「抗菌薬を飲んだから治った」のではなく、ちょうど自然に回復するタイミングと重なっただけ、というケースがほとんどです。
抗菌薬を飲んだことで「治った気がする」体験を繰り返すと、毎回必要だと誤解してしまうかもしれませんが、むしろ不要な抗菌薬を繰り返し使うと、耐性菌が増えてしまい、将来本当に必要なときに薬が効かなくなる危険性があります。
だからこそ、症状の原因が細菌かウイルスかを見極め、必要な場合にのみ抗菌薬を使うことが大切なのです。

不必要な抗菌薬使用によるリスク

耐性菌が生まれる危険性

抗菌薬を乱用すると「耐性菌」と呼ばれる薬の効かない細菌が増えてしまいます。世界的にも大きな医療問題になっています。現在、WHO(日本では厚労省)が中心となってAMR(薬剤耐性菌)対策がすすめられております。

副作用や体への負担

下痢や発疹などの副作用が出ることもあります。必要のないときに飲むのは、体に余計な負担をかけるだけです。

将来効かなくなるリスク

耐性菌が増えてきてしまうと、本当に必要なときに抗菌薬が効かなくなる恐れがあり、自分自身だけでなく社会全体に影響します。

抗菌薬が本当に必要なときとは?

扁桃炎・肺炎・中耳炎など細菌感染症

抗菌薬が有効なのは、細菌が原因の感染症です。例えば急性扁桃炎や細菌性肺炎、急性中耳炎などがあたります。

医師が必要と判断したケースのみ

症状や検査結果をもとに、医師が「細菌感染が疑われる」と判断した場合にのみ処方されます。

当院での抗菌薬の使い方

当院では「とりあえず抗生物質」ではなく、原因微生物を考えたうえで必要かどうかを判断します。細菌性感染が原因と判断した際は、その原因菌に対してもっとも効果的と考えられる抗菌薬を処方します。
また、症状が強い場合には点滴治療を行ったり、扁桃周囲膿瘍のように膿がたまったケースでは日帰り手術で対応することもあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 抗菌薬を途中でやめてもいいですか?

→ 自己判断で中止すると再発や耐性菌のリスクが高まります。必ず処方通りに服用してください。

Q. 市販の抗菌薬はありますか?

→ 日本では市販されていません。必ず医師の診断のもとで処方されます。

Q. 風邪のときはどうやって治すの?

→ 水分補給、安静、解熱鎮痛薬などの対症療法が基本です。

Q. 耐性菌って本当に危険?

→ はい。世界的に問題視されており、将来的に「使える抗菌薬がなくなる」可能性も指摘されています。

まとめ:抗菌薬は正しく使って未来を守りましょう

抗菌薬は大変重要な薬ですが、必要なときに、必要な量を、必要な期間だけ使うことが大切です。
「抗菌薬を飲んだら治った」と感じることもありますが、それは自然回復と重なっただけかもしれません。風邪に抗菌薬は不要であり、むしろ使いすぎることで将来的なリスクを抱えることになります。
当院では原因菌を考慮したうえで、点滴治療や日帰り手術なども含めた最適な治療をご提案しています。
 扁桃炎や副鼻腔炎などで抗菌薬が必要かどうか迷ったら、ぜひ一度ご相談ください。


この記事の監修者

山本 学慧(横浜やまて耳鼻咽喉科 院長)
2012年 横浜市立大学医学部医学科 卒業
2014年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 耳鼻咽喉科
2015年 神奈川県立こども医療センター 耳鼻いんこう科
2016年 横浜市立みなと赤十字病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2018年 横浜労災病院 耳鼻咽喉科
2020年 藤沢市民病院 耳鼻咽喉科
2021年 横浜市立みなと赤十字病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2024年 横浜やまて耳鼻咽喉科 開院
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器相談医
・補聴器適合判定医
・Infection Control Doctor
・難病指定医
・身体障害者福祉法第15条指定医
・緩和ケア講習会修了
・臨床研修指導医
・嚥下機能評価研修修了

https://yamate-ent.com/doctor.html

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