風邪は薬で治る?子どもの風邪との付き合い方と受診の目安<院内質問箱へのお答え>
目次
「患者さんからの質問」
「子どもは、どうしてよくかぜをひくんですか?どうしたらちゅうじえんにならなくなりますか?いつもありがとうございます。/R.Fさん」
「なんでインフルエンザがはやるんですか?/S.Fさん」

今回は、いただいたご質問をきっかけに、子どもの風邪との付き合い方について解説します。
「風邪は薬で治るの?」「受診した方がいいの?」といった疑問も含め、耳鼻咽喉科の視点からお伝えします。
子どもはどうしてよく風邪をひくの?
子どもが風邪をひきやすい主な理由は、免疫がまだ発達途中だからです。
大人はこれまでに多くのウイルスに触れて免疫を持っていますが、子どもはまだ経験が少なく、感染しやすい傾向があります。
さらに保育園・幼稚園・学校など集団生活では感染機会も多く、年間に何度も風邪をひくことは珍しくありません。
これは異常というより、成長の過程の一面ともいえます。
どうしたら中耳炎になりにくくなるの?
子どもは耳と鼻をつなぐ耳管が短く水平に近いため、風邪の鼻症状から中耳炎につながりやすいことがあります。
完全に防ぐことは難しいですが、次のようなことが役立つ場合があります。
鼻水や鼻づまりが続くときは、鼻の症状を早めに整える
鼻かぜが長引くと中耳炎につながることがあるため、鼻のケアは大切です。
年齢に応じて上手に鼻をかむ習慣をつける
鼻をすすり続けるより、適切に鼻をかめるとよいことがあります。
小さいお子さんでは、必要に応じて鼻処置(鼻水の吸引)が役立つこともあります。
ご家庭では市販の吸引器をぜひ活用してください。
中耳炎を繰り返す場合は、背景を相談する
鼻炎やアデノイドなどが関係していることがあります。また、まれに別の病気が関係していることもあります。
特に、鼻の通りを保ち、鼻症状を適切にケアすることは、中耳炎予防につながることがあります。
なぜ学校でインフルエンザがはやるの?
インフルエンザは感染力が強く、学校のような集団生活では広がりやすくなります。
特に、
- 近い距離で過ごす
- 咳やくしゃみでうつりやすい
- 冬は乾燥しやすい
といった条件が重なると流行しやすくなります。
毎年流行するのは、ウイルスの性質も関係しています。
インフルエンザは「感染力」と「環境条件」が重なることで流行します。
風邪を早くよくするには?風邪は薬で治る?
ここは誤解されやすいところですが、多くの風邪は薬で「治す」ものではありません。
風邪の多くはウイルス感染で、基本的には自分の免疫で治していく病気です。
抗生物質(抗菌薬)は細菌には効きますが、通常の風邪ウイルスには効きません。
そのため、無理に抗菌薬が必要になるわけではありません。
抗菌薬についてはこちら:
風邪に抗菌薬(抗生物質)は効くの?正しい使い方と注意点
では、風邪のときはどのように過ごすのがよいのでしょうか。
基本的な過ごし方
- しっかり休む
- 水分をとる
- 十分な睡眠をとる
- 必要時は症状を和らげる薬を使う
「早く治す特効薬」というより、体が回復しやすい環境を整えることが大切です。
風邪なら無理に受診しなくてよいこともあります
軽い風邪症状だけで、元気や食欲があり、経過をみられる場合は、必ずしもすぐ受診が必要とは限りません。
多くの場合は自宅での安静と経過観察で回復します。
これは「少し様子をみてもよいことがある」という意味です。
ただし重症の場合は別です
一方で、次のような場合は受診を考えてよいでしょう。
- 高熱が続く(子どもの場合は3日以上、4日目は必ず)
- 呼吸が苦しそう
- 水分が取れない
- ぐったりしている
インフルエンザやコロナ、溶連菌などは学校での出席停止にも関わるため、診断や治療が役立つことがあります。
また、小さなお子さんでは保護者の不安や負担も大きくなりやすいものです。
「このくらいで受診してよいかな」と迷う場合でも、相談いただいて大丈夫です。
不安があるときは、気軽に受診をご検討ください。
当院の発熱外来について
発熱やインフルエンザが疑われる場合には、発熱外来で対応しています。
隔離室を設け、他の患者さんとの接触に配慮しながら受診いただける体制を整えています。
受診の際はWEB予約をご利用いただくとスムーズです。
まとめ
子どもが風邪をひきやすいのは免疫が成長途中だからであり、中耳炎も子どもの構造上起こりやすい背景があります。
また、風邪は薬で治すというより、自分の免疫で回復していく病気です。
症状に応じて「様子をみる」と「受診する」を判断することが大切です。
おまけ:耳と鼻にいい食べ物はあるの?
「耳とはなにいいたべものはなんですか?」という質問もいただきました。
「これを食べれば耳や鼻の病気を防げる」という特別な食べ物があるわけではありませんが、
風邪のときや鼻・のどの症状があるときは、食べ方の工夫が役立つことがあります。
熱があるときは、消化のよいものを無理なく
発熱時は、おかゆ、うどんなど、食べやすく消化のよいもので十分です。
食べられそうなら少し食べる、くらいで大丈夫です。
水分がとれていれば、無理に食べさせようとしなくてもよいこともあります。
食べられず、水分もつらいときは経口補水液を活用
食事も難しく、水分もとりづらいときは、「OS-1」などの経口補水液が役立つことがあります。
「おいしい」と感じる場合は、脱水気味のサインともいわれます。
ただし、症状が落ち着いた後は飲みすぎに注意し、常飲するものではありません。
鼻づまりには温かい汁物が楽なことも
温かいスープや鍋物などで体が温まると、血流がよくなり、鼻の通りが楽に感じることがあります。
のどが痛いときは、はちみつが役立つことも
のどの痛みや刺激感には、はちみつで楽になることがあります。
お湯に少し溶かしたり、そのまま少量なめたりする方法もあります。
※1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症予防のため、はちみつは与えません。
特別な「耳と鼻に効く食べ物」というより、症状に合わせて食べやすいものを工夫することが大切です。
この記事の監修者
2012年 横浜市立大学医学部医学科 卒業
2014年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 耳鼻咽喉科
2015年 神奈川県立こども医療センター 耳鼻いんこう科
2016年 横浜市立みなと赤十字病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2018年 横浜労災病院 耳鼻咽喉科
2020年 藤沢市民病院 耳鼻咽喉科
2021年 横浜市立みなと赤十字病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2024年 横浜やまて耳鼻咽喉科 開院
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器相談医
・補聴器適合判定医
・Infection Control Doctor
・難病指定医
・身体障害者福祉法第15条指定医
・緩和ケア講習会修了
・臨床研修指導医
・嚥下機能評価研修修了
https://yamate-ent.com/doctor.html
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